海上保安庁は海上での警察および消防機関であり、領海、排他的経済水域の警備を第一の任務としている。海上保安庁は、国土交通省(旧運輸省)の機関(外局)であり、防衛省とは行政上、別系統の機関である。海上自衛隊は防衛大臣による海上警備行動の発令によって初めて洋上の警備行動が取れる。近年は、一連の不審船事案から、海上保安庁との共同対処訓練が頻繁に行われるようになっており、同時に、海上警備行動発令下のROE(行動基準)、とりわけ武器の使用に関する隊員教育が行われるようになっている。海上警備行動は、『軍服を着た海上保安官』としての行動であり、警察官職務執行法に準じた行動が求められるためである。
ただし、自衛隊法第80条には、「内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」(第1項)「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。」(第2項)との規定があり、有事の際には海上保安庁の指揮権を一時的に防衛大臣に委ねることができる旨を定めている。
しかし、自衛隊法第80条に基づく海上自衛隊艦艇と海上保安庁船舶の統一運用は、指揮命令系統がまったく別であること、これを調整する諸規定が定められていないこと、船名艦名で同一のものが少なからず存在すること等から困難であるとの考えが有力である。
また、海上保安庁法第25条は「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と海上保安庁を非軍事組織として強く定義しており、これについての法的整理も必要と考えられる。この点が、軍の一種であるアメリカ沿岸警備隊との非常に大きな違いである。
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